エンジニア向け経歴書の書き方

エンジニアの転職(フリーランスでの案件探し含む)において、必ず作成する職務経歴書。
書き方/フォーマットに明確な決まりは無いですが、ポイントを抑える事で企業の採用/現場担当者に好印象を与え書類選考通過の確度が上がってきます。
今回はのべ2,000人前後のエンジニアのカウンセリング実績のある弊社キャリアコーディネーターが、過去の経験を基にした職務経歴書の作成のポイントを解説します。
又同記事内で職務経歴書のサンプルもダウンロード可能ですので、是非お役に立てればと思います。
【目次】
1.職務経歴書作成の重要性
2.書類選考が通過しにくい職務経歴書の特徴
3.採用する側は職務経歴書をドコを見ているのか?
4.項目別での職務経歴書記載のポイント(スキル/経験)
5.各領域別の職務経歴書作成ポイント
6.職務経歴書作成に関するよくある疑問
1.職務経歴書作成の重要性
転職(フリーランスでの案件探し含む)時に応募される企業側がまず見るのは、職務経歴書となります。
なので内容が不足していたりポイントが大きくズレてしまうと、「技術力があるのか」「ドキュメント作成の力が無いのでは」とネガティブな印象に捉えられる事があり、書類選考が通過しにくいケースが出てきます。
企業側の採用/現場担当者も日々何十人/何百人と書類を見てますので、応募された方々一人一人の職務経歴書を細かく見切れない可能性のあるので、採用する側の状況等を考慮しパッと興味が湧くような形で作成する事が何より大切になってきます。
2.書類選考が通過しにくい職務経歴書の特徴
ここでは書類選考が通過しにくい職務経歴書の特徴を記載します。企業や募集求人によって多少差がありますが、どの求人/企業にも自信を持って出せる状態が大切なので抑えておいて損は無いかと思います。
<特徴>
- 職歴が期間/技術環境/担当工程(フェーズ)/PJ名のみの記載で、具体的な業務内容/成果/工夫又は改善した点が記載されてない
- 職歴の記載順が古い順(編年体形式)で、直近の内容(逆編年体形式)からの記載でない
- 得意分野が明確化されてない
- 技術用語の大文字/小文字が正しく記載されてない(例:Java→〇、JAVA→:x_黒太字:)
- 各項目ごとに改行がされてない、文字/フォントがバラバラで統一感が無い
3.採用する側は職務経歴書をドコを見ているのか?
職務経歴書を見る際は大きく分けて、「技術スキル」と「ソフトスキル」となります。基本的な部分からそれぞれのポイントを解説してゆきます。
<基本ポイント>
①見やすいフォーマットで書かれているか
基本的な点ですが、採用担当者がひと目見て内容が伝わってこない職務経歴書は、そもそも読んでもらうことができません。
職歴はわかりやすく区切られているか、インデントは揃っているか等、読み手のことを考えて書式が整えられているかどうかは、エンジニアとしての開発姿勢をも表します。
職務経歴書が最後まで読まれるかどうかは1枚目の内容で決まります。
そして、内容には書式等の見た目の部分も含まれるので、 2.書類選考が通過しにくい職務経歴書の特徴 で記載した内容を解決出来れば精度が上がります。
②能動的 - 主体的に仕事に取り組めるのか
過去に参画したプロジェクトと照らし合わせ、プログラミング言語やフレームワークの経験年数 - スキルレベルから、業務で使用していない言語も自主的に学んでいるか等、エンジニアとしての熱意や意欲をチェックする企業もあります。
業務で使用したスキルに限らず、プライベートで利用してたり独学した技術スキルもアピールするとよいでしょう。
<技術スキル>
- 経験している技術環境(OS/言語/フレームワーク/データベース/Cloud/管理系等)
- プロジェクト内での具体的な業務内容と役割
- 通常の開発(又は構築)業務外での業務内容(例:負荷分散対応、テスト自動化等)
- 習得出来た事、成果として残した事(間接的にでもOK)
- 工夫、改善してきた内容
- プロジェクトの人数規模
基本的に上記内容を網羅していれば精度とそて担保出来ているかと思いますし何故細かく記載するのかの理由は、技術に対する理解の深さや利用に関する思考です。
プログラミング言語とかの技術は道具でしかなくて、それをどれくらい使いこなしているか、練度によって全然違いますし、技術タイトルだけ書いても、「使ってみた」だけなの人と使いこなしていてどんな場面で使うべきかを理解し「提案できる」のとは全然違うので、技術タイトルだけ書いて満足しないで表現を足して欲しいと思います。
又常にビジネスとの相互関係に成るため開発の中でのジレンマは存在します。
その中で求められた要件や期限に対してどのような選択や考えで取り組んだのか、運用保守等も含めた短期/中期/長期を考えた上での技術選択、チャレンジするチャンスでどのような技術の提案が出来たか選択根拠は?等、ビジネス側から求められる要件の提案に対して、エンジニア側として技術の提案をどのように出来たかと言うものが一番の力量を測る指標になります。
なぜなら、提案するには自分でその情報を集め、理解し、実行する力が必要だからです。
誰かが決めてくれたアーキテクチャに従うものとは一段違った技術の理解度と行動が必要になります。
又技術スキルに関しては下記2つも補足として記載する or 面接等で伝えられるかもカギになってきます。
①基礎スキル
目的:技術理解の深さを知る為
- デザインパターン (GoF、マルチスレッドデザインパターン等)
- アーキテクチャパターン (OOP、DDD、 Cloudアーキテクチャ)
- DB特性 (RDB, KVS, カラムナー等)
- プログラミング言語の理解の深さ (言語ごとの得意スタイル)
- アルゴリズム (数学、データ構造パターン)
②トレンドスキル
目的: 実行力や手の早さ、アンテナの広さを知りたい
- 流行りのプログラミング言語、フレームワーク、ミドルウェア、ツール
- 新しい言語の概念の理解
- 便利なポイントや導入が進んでいない状況の考察
4.項目別での職務経歴書記載のポイント(領域は共通)
4-1. 職務要約
職務要約はシンプルに入社/退社情報と担当業務を記載します。
正社員転職の場合、アルバイト経歴は職務経歴書に入れるべきものではありませんが、若手に限り、IT - 技術系アルバイトの経験を記載することで自己PRに繋がる場合もあります。
<良い例>
20◯◯年、株式会社△△に入社しました。
入社後◯年間、主に(ObjectiveーC/Swift/Android Java/Kotlin)を用いた△△向け(iOS/Android)アプリケーションの(要件定義/> 基本設計/詳細設計/実装/テスト/運用保守)に従事し、(最大◯名のチームのリーダー/最大◯名のプロジェクトのマネジメント/顧客折> > 衝/後輩教育)も担当した経験があります。
※太字部分は可変箇所
4-2. 得意分野
得意分野の欄には、自分が行きたい業界の採用担当者に刺さるポイントを書けるのが理想です。
Web系なら複数の言語で開発ができるなどの”スキルの広さ”、SIなら金融業界や製造業界など、特定の業界の専門知識があるといった”スキルの深さ”をアピールしましょう。
開発スキルだけでなく、よりよいシステムを作るための「ユーザーの要望ヒアリング」や開発をスムーズに進めるための「メンバーの進捗管理」なども立派な強みです。
得意分野の項目に関しては、次に説明する開発経歴の項目を先に完成させ、その中から特に評価されたことをリストアップして記入すると書きやすいと思います。
<良い例>
- ◯◯業界の業界知識
→業界知識をアピール - (HTML/CSS/JavaScript/TypeScript)による(Webサイト/Webアプリケーション)の(要件定義/基本設計/詳細設計/実装/コーディング/テスト/運用保守)
→複数言語での開発スキルをアピールできると尚良し - (jQuery/Angular/React/Vue.js/Nuxt.js/Struts/Spring/Laravel/CakePHP)のフレームワークを用いた開発
- DB(MySQL/Oracle/PostgreSQL)の(チューニング/テーブル設計)
- フロントエンドからバックエンドまでの開発
- チームリーダー経験(最大◯◯名規模)
- 顧客折衝
※太字部分は可変箇所
4-3. テクニカルスキル
テクニカルスキルの項目には、OSやプログラミング言語、フレームワークなど各項目ごとに、使用期間とスキルレベルを記載します。
スキルレベルは企業ごとに基準が変わってくるので、自分の考えるレベル感と乖離が生まれてしまうのは仕方がないものです。
詳細は面接で確認されるので、あまり神経質にならずに記載しましょう。
また、独学で勉強中及び副業で経験した言語も書いておくことで、技術習得に熱心であることをアピールできます。
<良い例>

4-4. 開発経歴【重要!】
開発経歴は職務経歴書の最重要項目です。採用担当者が最も注目する項目となります。
簡潔かつ具体的に記載するのがポイントです。
よくある悪い書き方としては、内容が抽象的であったり、情報をうまくまとめられておらず、業務内容や担当フェーズ、開発の規模などがわかりにくいといった点が挙げられます。
例えば『管理システムの開発』とだけ書かれていても、”どんな管理システムの何の開発なのか”、”どんな開発環境でどの工程を担当したのか”といった具体的な情報がなければ、企業側はその人の経験やスキルを正しく理解することができません。
開発経歴は『開発期間』『プロジェクト名と業務内容』『開発環境』『役割 - 担当 - 開発規模』をわけて書くとわかりやすくなります。
担当フェーズの項目では、各フェーズごとの期間を書くと、求職者がどのくらいの量の業務を担当してきたのかを推測できます。
プロジェクトにおける使用言語のバージョンの記載や、業務内容や実績を箇条書きで簡潔かつ具体的にまとめられていれば、採用担当者に自分のスキルや実績を正しく伝える上でプラスに働きます。
<良い例>

◎良い点
①列を分けて記載することで情報を整理
②担当フェーズの期間まで記載
③担当業務内容を簡潔にまとめる
4-5. 取得資格
取得資格には業務に関連する資格のみ記載します。
職務経歴書は実務能力を測るためのものなので、『応用情報技術者試験』や『ORACLE MASTER』など、SE(システムエンジニア) - プログラマーとしての業務に役立つ資格のみを対象とします。
直近で資格を取得されている方は、学習意欲のアピールにも繋がりますので忘れずに記載してください。
『普通自動車免許』などSEの業務に関連性のない資格は、履歴書に書くようにしましょう。
<良い例>

4-6. 自己PR
自己PRの項目には「業務での成功体験」、「他者からの評価」、「希望するキャリアパス」を書きます。
SE(システムエンジニア)には、この自己PRを書くのが苦手という方が多くいます。やりがちな失敗としては、悪い例のような抽象的かつ定性的な内容に終始してしまうことがあります。
抽象的な自己PRは、転職活動においてマイナスに受け取られかねません。
上流から一貫したサービス開発経験をアピールしたいのであれば、具体的に『どのようなプロジェクトで』、『どんな開発を行い』、『どんな成果を得られたのか』を記載する必要があります。また、プライベートで開発したWebアプリなどを自己PRに用いる場合は、可能であればURLまで記載することで採用担当者がスキルレベルを把握しやすくなります。
<良い例>
- 上流からの一貫したサービス開発経験
私は開発において、サーバー構築からバックエンド、フロントエンドまでのコーディング業務を行うことが可能です。
また、リーダーとしてクライアントと要件交渉から調整まで行ってきた経験もあり、開発に留まらず企画からプロジェクトに参画することができます。
例として、△△△株式会社での飲食店向けiOSアプリ開発案件では、バックエンドの構築のみならずタブレット側の実装やUI設計を同時に行い、当初予定していた3ヶ月の納期を短縮させ2ヶ月で納品を完了しました。
このプロジェクトでの成功が評価され、2016年度のベストエンジニアとして社内表彰を受けることもできました。
今後はこの経験を活かし、より多くのプロジェクトにおいて一貫したサービス開発を行っていくと同時に、メンバー教育にも力を入れていきたいと考えています。
以上
◎良い点
- エンジニアとしての対応領域の広さを具体的にアピール
- 定量的な成果(数字での成果)が示されている
- 評価内容が具体的である
- 希望するキャリアパスが欠かれている
自己PRに書くべきポイントは、 - 業務での定量的な成功体験
- 他者からの評価
- 希望するキャリアパス
以上の3つです。
自己PRの先頭にはキャッチコピーをつけると、アピールしたいポイントがよりわかりやすくなります。
成功体験や評価に加え、希望するキャリアパスまで記載することで、求職者の希望する業務と採用企業側が担当してもらいたい業務のミスマッチを防ぐことに繋がります。自分の志向性を伝えるという意味でも、今後挑戦したいことを具体的に書きましょう。
自己PRの内容も得意分野の項目と同様に、開発経歴の中で特に良い成果を上げられたものをピックアップして、内容をブラッシュアップしていくと書きやすくなります。
5.各領域別の職務経歴書作成ポイント
※経歴書のフォーマット(サンプル)はTechChoiceへご登録頂き、個別に問合せ頂いた方のみに送付させて頂きます事ご了承ください。
①Webエンジニア(フロントエンド/サーバーサイド)
経験のある開発言語やフレームワークについては、バージョンについても細かく記載しましょう。例えばPHP 7.4とPHP 8.1、Laravel 8とLaravel 9のように、特にメジャーバージョンが変わると記述の作法や機能が異なることがあります。
②インフラ(ネットワーク/オンプレ/クラウド)エンジニア
ネットワークエンジニアの評価項目として、「どれくらいのプロジェクト規模だったのか」を採用担当者が気にするケースが多いです。
プロジェクト人数も勿論ですが、サーバ台数や拠点の数等プロジェクト規模がイメージできるような具体的な数字も記載するようにしましょう。
又自身がネットワーク/サーバ/クラウドのどれに強みを持っているのか、職務経歴書を読んだ側が理解できるように工夫することも大事です。
③組み込みエンジニア
組み込みエンジニアの場合は、業務内容やスキルでのマッチだけでなく「製品の種類(スマートフォンや自動車、カメラ、白物家電など)」とのマッチで求職者が評価されるケースがあります。
その為、応募する企業の事業内容や応募要件に合わせてアピールポイントをカスタマイズするのが望ましいです。
④社内SE
社内SEの業務は大きく「通年業務(運用保守や問い合わせ対応など)」と「プロジェクト進行」の2つに分けられます。
この2つを分けずに記載すると煩雑になりやすいため、項目で区切るなど分かりやすくまとめる工夫が必要です。
⑤ネイティブアプリエンジニア
ネイティブアプリのほとんどは、iOS(iPhone)向け/Android向けの2種類です。
各言語やフレームワークのスキルは勿論のこと、ストアでのリリース経験やマテリアルデザインへの理解、実際の反響(売上やダウンロード数)等も記載できるとアピールポイントになるでしょう。
6.職務経歴書作成に関するよくある疑問
最後に、SE(システムエンジニア)の職務経歴書作成時のよくある疑問についてお答えします。
Q1.職務経歴書の枚数に決まりはありますか
A:特に決まりはありませんので、枚数にこだわる必要はありません。
しかし、職務経歴書は最初の1枚目で採用担当者の興味を惹きつけられるかどうかが、書類選考通過のカギになります。
今回解説した内容を参考にしながら、わかりやすい職務経歴書の作成を心がけましょう。
Q2.職務経歴書に志望動機は書いた方がよいのでしょうか
A:書かなくて大丈夫です。志望動機は面接で詳しく質問されます。
Q3.職務経歴書の特記事項には何を書いたら良いでしょうか
A:特に記載することがなければ、特記事項は省いてかまいません。
SE(システムエンジニア)やプログラマーの場合は、自身のGitHubのリポジトリやテック系ブログのURLを書いておくと、自己PRに繋がる可能性があります。
また、社内表彰された実績などがあれば、そちらも記載しておきましょう。
Q4.転職回数が多い場合でも職歴はすべて記載した方がよいですか
A:正社員としての職歴は全て書いてください。
書いていない場合は経歴詐称になりかねませんし、企業はブランク期間があることを好ましく思いません。
古いものは簡潔に1~2行でまとめて構いませんので、空白期間を作らないようにしましょう。
また、アルバイトやパートの職歴については、正社員転職の際は記入する必要はありません。
Q5.転職回数の多さは転職活動を進める上で不利になりますか
A:「定着率に懸念あり」という点で、不利にならないとは言い切れません。
1年未満で退職していたり、平均勤続年数が2年未満であったりする場合は、面接で理由を説明できるようにしておきましょう。
勤務先の倒産など、会社都合の退職の場合はこの限りではありません。
Q6.プロジェクトが多い場合に見やすくする方法はありますか
A:転職先の担当者に見せたいプロジェクトにフォーカスして記載しましょう。直近のプロジェクトと活躍したプロジェクト等については詳細に記載し、そうでないプロジェクトについては概要にとどめるとよいです。
Q7.客先常駐のプロジェクトは実名を出しても良いのでしょうか
A:クライアントとの契約の中には秘密保持について定めることが多く、これに反することは守秘義務に違反することになります。トラブルの原因となるため実名を出すのは控えたほうがよいです。
Q8.GitHubアカウントも含めたほうが有利でしょうか
A:GitHubアカウントを持っており、何らかのプログラムをアップロードしているのであれば、記載しておいて損はありません。
プログラムの内容に限らず、GitHubを知っており、そこでプログラムを公開しているという技術スキルを磨く活動を行っていることは最低限伝わります。また、その中でもアピールできるプログラムがあれば、口頭でもフォローするとより効果的です。
最後になりますが、職務経歴書作成は最初が一番時間が掛かるかと思います。
しかしポイントを抑えて作成すればあとは経歴を足してく事が中心となるので、定期的なアップデートをしておくのも良いでしょう。
一度型が作ればLinkedIn等のキャリア系SNSにも経歴入力が負担無く出来ますし、キャリアの可能性がグッと上がるかと思います。